【UXデザイン】日本の会社の多くが縦割りだからこそ使うべき共感ペルソナ

今回は、共感ペルソナをご紹介したいと思います。普通のペルソナと何が違うのかというと共感ペルソナは関係者がお客さんに共感をする為のペルソナです。
なぜ共感する為のペルソナが必要かというと、複数の部署や人数で進めていると、「何を何の為にしているのか」が各部署や個人でずれていくことが多いからです。それは伝えるときの言葉やドキュメントを作る側の表現方法、そしてそれを読み取る側の解釈により起こります。
そもそも人間は持っている背景や知識が個々によって違うので相手によって最適な表現で伝えないと適切に理解できません。私はデザイナーですが企画側、エンジニア側に話をするときは知らないことを前提に言い方を補足したり変更しながら話すようにしています。そして出来るだけ専門的な言葉は使わないようにしています。(教育する為にも少しづつ教えながら伝えてもいいです)
例えば広告であった例ですが画面上の大きいバナーのことを担当者はビルボードと言っていることがありました。確かに大きく間違っていないとは思いますがLPの場合はヘッドラインが正しいです。ただしどちらもWEB、広告と専門用語なので知らない人が見たらわかりません。なのでメインイメージと補足して書いていました。その小さい配慮が必要だと思っています。
普段、何も意識せずに伝える人が多いですが、多くの関係者で進めている場合意識しないと認識のズレが発生し徐々に傷口は開いていきます。それほど伝えるのは難しいことなのです。これがユーザー像となれば伝えることが難儀なのは想像に難くないと思います。それを解決する方法がこの共感ペルソナになります。
まずペルソナを作る目的をおさらいしてみましょう。
ペルソナを作る目的とは?
・ユーザーが今何をしているかを捉える 現在を描く
・ユーザーがこれからどうなっていくかを捉える 未来を描く
現在を知ることで得られるのは、課題を見つけることがあげられるでしょう。お客さんではなく自分に照らし合わせて見ても自分を知らないとどう改善するのかも分かりませんよね。同じことです。
そして未来を描くには現状を知らなかれば出来ません。例えばあなたが海外に移住したいと考えていれば、理由があるはずです。「気候が暖かいから」、「税金が安いから」、「将来的に経済成長が見込めるから」、「治安がいいから」などその理由あるから、あなたが次に取る一手は想像することが出来ます。海外に住むには言語の習得はもちろんのこと、資金を貯める必要があります。下調べに旅行にいくかもしれません。移住の為の勉強会にいくかもしれません。事前に家を購入するかもしれません。
どうですかこんなにも想像ですることが出来るんです。これが未来を描くことになります。
これらの目的の為に関係者が一緒に考えられるような状態にすることが、今回の共感ペルソナを作る目的であり作業になります。その方法としてユーザーモデリングというユーザー像を組み立てる作業が効果的で共感図を元にワークショップで作成するのが共感ペルソナになります。
①データーの切片を作る
それでは共感ペルソナのやり方を順番に説明いたします。まずはKJ法や感情曲線インタビュー、デプスインタビューなどで集めたデーターを付箋に書いて行きます。ここで気をつけないといけないのは、付箋に書くときに観察的・客観的な事実のみを描くようにすることです。つまり心理や感情を代弁しないことです。
そしてもう一つは目的は、お客さんのことを現状を知り新たな課題を見つけ未来を描くことなので、それの足がかりになるような内容でなくては意味がありません。例えば「毎日、馴染みのカフェに行く」と書いただけでは次に繋がりません。心理や感情を代弁してはいけませんが、毎日行くということは、継続性が強く習慣性が強いと言えます。
他のデーターに社交的な内容があればカフェの店員さんとのコミュニケーションを大事にする社交的な人と想像出来ます。この部分が大切です。こちらで想像しお客さんの心情を補うのです。詳しくは、KJ法の記事でご確認ください。
②共感図に調査、分析データーを貼る
ペルソナ作成には下記のテンプレートを使用して行います。下記の該当の場所に付箋を貼ってください。
初めは調査に基づいたデーターなので分類し易い「考えていること」以外に貼り出されると思います。そして徐々に「考えていること」エリアに移動して行きます。ここでは、参加しているメンバーと議論しながら行うようにしてください。
ここで自分たちでユーザーの考えを代弁しなくなるようになったら色の違う付箋などで分かるように書いて貼ってください。
今ここで、したことはデーターからユーザーのことを想像したことです。現状の姿を描きながら共感し想像したのです。とてもいい成果だと言えるでしょう。

③未来のユーザー像を想像し描く
先ほどの想像し描いた付箋のように時間軸も意識し未来のユーザーも想像できるようしてください。人間も環境も常に同じということはありえません。特に現代では進化のスピードが早く昨日まで当たり前だったものは今日には古くなってしまいます。同じようにサービスも求められるように進化して行かなければいけません。このペルソナによって今ユーザーに何がおこっているのかを知ることが出来、解決策を考え検証してみて効果をみることで、ユーザーの行動がどう変わったのか知ることが出来ます。そしてペルソナは常に書き換えられこれからも進化し続けるのです。
いかに想像することが大切かわかっていただけましたでしょうか?難しく感じられますが、本来はこのような仕事が単純作業ではない人間らしい仕事だと思います。これはAIなどが進化してもまかなえないことだと私は思います。
