【UXデザインの基本プロセス】頭に叩きこんでください!

前回は有名なギャレット氏のUX5段階モデルを紹介しましたが、試してみると分かると思いますが、そのモデルはUI部分を中心に設計していて、UXのプロセスについて十分な説明がない為、理解が出来ないと思いますので、今回はUXのプロセスを中心に細かくご紹介したいと思います。
1.利用文脈とユーザー体験の把握
1.目的を明確にする
まず、プロジェクトの目的を明確にします。ただタスクを命令させこの目的をメンバーに認識させない方が多い気がしますが、それだとメンバーは目的がないまま動くただの労働者になってしまいただのロボットと変わらず人間とは言えません。
当然、企画側、開発側それぞれのプロセスで進み適切な議論や処置がされない為、個人の偏った考えで良いサービスは出来ません。良いサービスを作る為には皆を導くマネジメントがうまい有能なプロジェクトマネージャーが必要でしょう。
2.目的を達成する為にユーザーの行為について調査する
次にサービスを利用してもらう為に、そのターゲットとなるユーザーを調査しどうすれば利用したくなるのか、ユーザーが秘めている価値を探索します。
新規プロダクトと既存の改修とでは集める情報は違うので先程の目的から下記の新規と既存でプロセスを変えてください。
行動、環境や現状の把握、人間関係などを調査します。B2Bの場合は所属している企業の情報や競合についても調査します。この調査の段階がUXでは一番重要な部分で、ここで集めた情報があまり有益なものでない場合はその後も良い効果は期待出来ないでしょう。
■目的
プロジェクトの目的を明確化する
■新規プロダクト
ユーザーの欲求の探索、「利用したい」という心理に繋がる欲求や価値を特定します。まだ同じモデルのサービスがなかったら、似たサービスからインタビューや観察をして見ると良いでしょう。
■既存プロダクト
プロジェクトの目的達成に繋がるプロダクトの変更点を特定します。
■手法
・インタビュー
・オブザベーション
・エスノグラフィ
・フィールドワーク
2.ユーザー体験のモデル化と体験価値の探索
次に調査したデーターからプロダクトの要件となる「利用したいと思える価値、体験」を仮説化し創出します。インタビューやオブザベーションなどから調査したデーターはユーザーの本当の声が入っている貴重なデーターではありますが、UXデザインでは生データーに近い形でリサーチをする為、レベル感の違いなどからそのままでは使えません。デザインに使えるようにするには定性的な分析手法を使い創出する必要があります。
■目的
ユーザーの秘めている「利用したい」という欲求が発生する条件を探索する。
■手法
・ペルソナ
・共感ペルソナ
・価値マップ
・カスタマージャーニーマップ
・KJ法
・構造化シナリオ
1.ペルソナを作成
ここでユーザーをモデリングをします。ユーザーモデリングとはユーザーのニーズ、欲求、特徴を人物化することで、それがペルソナになります。
ペルソナは、いくつか種類があり、簡易的なプロトペルソナ、キャスト、詳細に定義したペルソナ、共感図法などがありますが、どれを作るかはそのときの状況によって変わります。例えばリサーチした情報がなく、それを実施する予算がない場合は、社内ヒアリングでプロトペルソナを作ります。
予算や時間がある場合は、ユーザーやターゲットにリサーチをしメンバーが参加に意欲的な場合は共感ペルソナを作ります。
2.カスタマージャーニーマップの作成
ペルソナを作ったら今度はユーザーにとって価値のある体験を創出します。
価値の創出にはユーザーの時系列に沿った体験の様子を視覚的に表現するカスタマージャーニーマップや定性的な情報から創出するKJ法、構造化シナリオなどがありますが、リサーチをする工数が確保出来ない場合やそもそもリサーチが出来ない場合も考えられるので状況によって使い分けしましょう。
3.プロダクトの設計・ユーザビリティ評価
ここでは創出した価値を満たすプロダクト要件をどのように機能や方法で実装できるか設計をします。UIはワイヤーフレームで要件や機能の設計に絞り外装のビジュアルまではここでは入れないようにします。
ある程度作成したらプロトタイプ化しユーザービリティ評価をしましょう。ツールが望ましいですがなければかペーパープロトタイプでも構いません。何度かテストをし改善し分析結果があらかじめ設定した基準を超えたら終了します。
■目的
機能・要件を設計しユーザビリティ評価をし改善する
■手法
・ワイヤーフレーム
・ユーザビリティ評価
デザインの仕様を確定させるというデザインの中心的作業を行う。UXデザインでは各段階において、人間中心設計プロセスの概念に則り反復設計を行うが、この段階が最も反復プロセスを機能させる段階である。
4.プロダクトのビジュアルデザイン・実装
ここでやっと日本でデザイナーの仕事だと一般的に認識されている外装のビジュアルデザインに入ります。ここではデザインシステムを元にタイポグラフィ、色彩設計、アクセシビリティ、インタラクション等を考慮しながら設計していきます。作る前に競合の調査やブランディングまで考えながら細部まで考えながら作ります。
制作が完了したらレビューをしてから修正しFIXをしてから開発にスペック、リソースを渡します。実装し終えたらデザインが設計通りになっているかデザイン側のレビューしましょう。
ここの工程を行わない会社が非常に多いですが設計図を書いた本人が確認もせずリリースされるのが不思議に思えます。工数の時間が取れないことも稀にあると思いますがコードレビューは行なっているのでデザインレビューが確保出来ないとは思えません。
いい加減なデザインのままとりあえずリリースしてユーザーが満足するのでしょうか?スケジュールは大切ですが、リリースしてユーザビリティ評価をして改善するにも、最初のユーザーに対して印象が悪ければ口コミなどで広がり二度とつかっもらえないことになりかねません。
「この位なら大丈夫だろう」とデザイナー抜きで決めるのもそもそもデザイナーに対してただの絵描き屋としか見ていなくリスペクトが足りていないからだと思います。
多くの企業で何度も経験していますがデザイナーの目は普通の人が気づかないものが見えます。なので必ず見てもらってください。自分が気づかないからよしとしないで専門家に任せましょう。いい加減な文化の組織はいつまでたっても良いUI・UXは生まれないでしょう。
■目的
プロダクトを実装する
5.市場に置いてのユーザービリティ評価
リリースしたからと言って終わりではありません。プロダクトに終わりはなく人間の一生と同じくライフサイクルはあります。
それは、サービスを使う側の人間の環境が変わるからです。そのサイクルの各ステージに置いてもユーザーの声や行動を観察し改善していかなければなりません。ですからお客さんを想像する為に徹底的にリサーチしたペルソナやジャーニーは大事なんです。現状はビジネス要件ばかりでお客さんの話は少ないことが私がいた現場では多かったです。
今はビジネス=お金にほとんどの人が目がいきがちですがこれからはそのようなサービスは淘汰されていくでしょう。お金ではなくお客さんの喜び、満足度を中心に考えられる人がこれからの時代では中心になります。
いつまでもいろんな理由をつけて昔のやり方に固執せずに、自分のしていることに不満や違和感が少しでもあるなら、自分が当たり前と思っていたことが実は既に古い事かもしれません。そんな小さな気づきから新たな考えや価値観が芽生えるものです。
時代は変わっていくので自分もパラダイムシフトする方が自然というか楽です。その時は今後の世界は全く異なる見え方になっていると思います。
■目的
ユーザビリティ評価をし分析した結果から2のSTEPに戻り改善する。
以降はその繰り返し。
